「五年目のひとり」
Work Title | 「五年目のひとり」 |
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Phonetic Pronunciation | - |
Period | - |
Author | 山田太一 |
Summary | 忘れちゃいけない、忘れなければ生きていけない、でも忘れられない。東日本大震災のその後を見つめ、いまだ癒えぬ心の傷を抱えた男の物語を描いた「山田太一ドラマスペシャル・五年目のひとり」。主演には山田太一ドラマの常連、渡辺謙が起用された。5年前の大震災で一家8人を失った男を演じた渡辺は、インタビューでこう語っている。 「山田先生から、震災で心に傷を負った孤独な男を描きたいとお話をいただき、背中に一本ピンと張るものがありました。ダイレクトに震災を描くのではなく、一人の男の心の裏側から起きてしまったことの大きさがあぶりだされる脚本。こんなことができるドラマって、なんてすごいのだろう。ドラマの力を脚本から感じました」 文化祭からの帰り道、女子中学生の松永亜美(蒔田彩珠)は見知らぬ中年男に呼び止められる。男は文化祭のステージで踊る亜美を見ていたらしく、「君のダンスが一番きれいだった、素晴らしかった」などと賞賛の言葉を残して去っていった。なんとなく奇妙な感じの男だったが、褒められた亜美は嬉しくなって、家に帰ると兄(西畑大吾)に話した。その話を聞き、不信感を抱いた母の晶江(板谷由夏)が警察を呼んで騒ぎになる。 数日後、亜美は街で、その男を見かけた。男の名は木崎秀次(渡辺謙)。同郷の友人・花宮京子(市原悦子)の紹介で、東京に来てパン屋で働くことになったという。上野浩志(高橋克実)と春菜(木村多江)夫婦が営む「ここだけのパン屋」のアルバイト定員だ。 ときどき言葉を交わすうちに、亜美と秀次の間に心の交流が生まれていく。やがて、亜美は秀次があまりにも大きなものを失ったことを知る。東日本大震災で家族全員をなくしたという。独り残された秀次の心の傷は深かった。心の病にかかって一年間の入院生活を余儀なくされたが、京子がリハビリを兼ねてパン屋で働くことを勧めたのだ。 ところで、心を閉ざしていた秀次がなぜ女子中学生の亜美に魅せられたのか。それは震災で亡くなった娘に瓜二つだったからである。東日本大震災という予期せぬ出来事で、抱えきれないほどの大きな悲しみと孤独を背負った男を、渡辺謙が全身全霊で演じきった。 2017年度東京ドラマアウォード・単発ドラマ部門優秀賞受賞。第71回文化庁芸術祭参加作品。 |
Script of This Work |
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