Script database and Japanese screenwriters in Japanese broadcast programs and animation

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「幽婚」(98年、中部日本放送)

Work Title 「幽婚」(98年、中部日本放送)
Phonetic Pronunciation -
Period -
Author 市川森一
Summary ●作品紹介 若くして未婚で亡くなった者に、生前の婚約者や未婚の異性と婚礼を挙げさせてから葬送し、死者の冥福を祈る「幽婚」。そんな奇妙な風習を題材にして、偶然のなりゆきで「幽婚」に巻き込まれた男の戸惑いと切ない心情を描いた純愛ドラマである。市川森一は中国の旅先で「幽婚」の風習を知り、その言葉に導かれるように脚本を書いたという。 岩淵孝行(役所広司)は元ヤクザ。背中には吉祥天の刺青が彫られたままだが、今は更生し霊柩車の運転手として運送会社に勤めている。ある日、会社を訪れた内田修(森宮隆)という若い男から、急死した婚約者・畑中佐和(寺島しのぶ)の亡骸を、彼女の郷里である四国・黒髪村まで移送してほしいと頼まれる。 孝行は修を霊柩車の助手席に乗せて四国へ向かうが、修はなぜか途中で姿を消してしまう。亡骸とはいえ、婚約者に置き去りにされた佐和を哀れに思った孝行は、亡骸に話しかけながら旅を続けた。修の行動を不審に思いつつも、ようやく山奥の黒髪村に辿り着く。 孝行が佐和の実家で事の次第を説明すると、村の長老たちから新郎の代役で亡骸と結婚してほしいと懇願される。この村では若い女性が結婚の契を結んで死んだとき、婚約者と祝言を挙げてから葬る「幽婚」の風習があるからだった。修が逃走した理由がわかった。孝行も逃げ出したくなったが、村人たちは帰してくれそうにない。怖気づき困惑しながらも、しぶしぶ引き受けることにした。 形だけの祝言だったが、亡骸と添い寝した孝行が目覚めると、佐和が隣にいなかった。外に探しに出ていくと、死んだはずの佐和が滝壺で水を浴びていた。哀しいような愛おしいような思いにとらわれて、孝行は佐和と愛し合う...。市川森一脚本ならではの幻想的なストーリーで、ちょっと意外な結末が待ち受けている。役所広司演じる男の静かだが優しい情愛に包まれていくような心地よさも、本作の魅力ではないだろうか。 1999年モンテカルロ国際テレビ祭最優秀脚本賞、平成10年度文化庁芸術祭優秀賞第53回芸術祭優秀賞(ドラマ部門)、第47回日本民間放送連盟賞優秀賞(テレビドラマ番組部門)、第25回放送文化基金賞(テレビドラマ部門)、第36回ギャラクシー賞(ギャラクシー選奨)などを受賞した。
この作品の脚本