「モモコシリーズ」(82~97年、TBS)
Work Title | 「モモコシリーズ」(82~97年、TBS) |
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Phonetic Pronunciation | - |
Period | - |
Author | 市川森一 |
Summary | ●作品紹介 1982年から1997年にかけて、TBS系列で放送された1話2時間の単発ドラマシリーズ。演出の堀川とんこうによれば、「2時間ドラマ隆盛の頃で、殺人事件が入っていれば、あとは自由が利く」という状況だった。そこで主人公のモモコは風俗嬢(放送開始時はトルコ嬢、のちにソープランド嬢)という設定で、社会問題を素材にしたストーリーにするという難しいドラマ作りに挑んだ。さて、モモコ役を誰に演じてもらうか。脚本家・市川森一と堀川とんこうが話し合った結果、風俗嬢がいかにも似合いそうなセクシー女優ではなく、意外性のある女優がいいという意見で一致した。 白羽の矢が立ったのは、当時「お嫁さんにしたい女優NO.1」と呼ばれた竹下景子。断られる可能性大だと思われたが、意外にも快諾だった。「露骨な表現はないでしょうね」と心配顔のマネージャーに、「いや、露骨な表現はしたいです」と堀川は答えた。当の竹下は臆することなく大胆かつ意欲的に取り組み、話題を呼んだことは言うまでもない。 竹下は当時を振り返って、「むしろ飛びついたという感じですね。それまでの殻を破りたい一心で引き受けました。いま思えば怖い物知らずでしたけど、おかげで演技の幅を広げる転機になって、とても感謝しています」と告白している。 第1話「十二年目の嘘 乳と蜜の流れる地よ」は、1982年に起きた「マイホームを巡るサラリーマンの妻殺し」という実際の事件をヒントに、サスペンス仕立てのドラマとして練り直したものだ。モモコ(竹下景子)は風俗嬢として体を張って稼いだ金で、郊外にマイホームを建てようと土地を買っていた。ところが、その土地に見知らぬ男(佐藤慶)が勝手に侵入し、なぜか草むしりをしているのである。 そんな折り、モモコにヒモ殺しの容疑がかかる。無実を証明するには、草むしりの男を証人として呼ばなければならなくなったが、探そうにも手掛かりがない...。 クリスチャンである市川森一の手がける脚本は、キリスト教の考えや視点が入っている作品が多い。「モモコシリーズ」もその一つだろう。ドラマの副題にも、聖母、受難、黙示録、巡礼、罪と罰、最後の審判など、聖書のような言葉が使われている。 モモコは風俗嬢として大金を稼いでいるが、好きな男にはとことん尽くし、困っている人には救いの手を差し伸べる聖母マリアのような女である。竹下景子は15年に渡って、聖と俗を併せ持つモモコ役を体当たりで演じてきた。 シリーズ8まで制作されたが、モモコはソープランドを離れ、芸者、政治家の愛人、仲居など違う生き方を模索したり、一億はたいて学習塾を経営しようとしたこともあった。さて、その後のモモコがどこでどうしているのか、大いに気にかかるところである。 第1回向田邦子賞(市川森一)、第37回芸術祭優秀賞などを受賞。 |
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