「港町純情シネマ」(80年、TBS)
Work Title | 「港町純情シネマ」(80年、TBS) |
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Phonetic Pronunciation | - |
Period | - |
Author | 市川森一 |
Summary | ●作品紹介 斜陽になった映画館の映写技師を任された男が、上映中の名作映画の主人公になりきって銀幕の世界に遊ぶ、異色のファンタジックコメディ。 漁船の機関士をしていた猿田禄郎(西田敏行)のもとへ、ある日、港町・銚子にある映画館「港シネマ」を営む父の万造(室田日出夫)から手紙が届く。そこには「港シネマの経営を任せたいので、陸に上がってほしい。私は映写技師に戻って、側面からお前を支える」などと書かれていた。日頃から、いつかは「港シネマ」の支配人になりたいと願っていた禄郎は、ありがたく父の申し出に応じることにした。 ところが、陸に上がった禄郎に万造が任せたのは、念願の支配人ではなく、なぜか映写技師の仕事だった。話が違うじゃないかと失望しながらも、いまさら海に戻る気はない。禄郎は生来「夢見る男」で、映画をこよなく愛している。寂れた小さな映画館で映写技師として働きながら、次第に名画の主人公に自分を同化させ酔いしれていく。 毎回、禄郎が上映する名画の世界に入り込み、主人公として「生きる」という設定が目玉である。西田の演技は滑稽で笑いを誘うが、どこかしら切なく哀愁を漂わせている。 また、名画のワンシーンやテーマ音楽などがモチーフとして毎回使われていた。たとえば、「シェーン」「カサブランカ」「地獄の黙示録」「第三の男」「太陽がいっぱい」「ある愛の詩」「影武者」といった懐かしの映画と再会できるのも見どころの一つ。 さらに本作自体が、ハリウッド映画「虹を掴む男」(47年)を彷彿させる。ダニー・ケイ演じる主人公は映写技師ではなく出版社の校正係だが、白昼夢を見ることにかけては禄郎に負けず劣らずだ。このドラマのキャッチコピーが「港町の“虹を掴む男”の物語」となっているのは、本家本元へのリスペクトでありオマージュでもあるのだろう。 ちなみに、ドラマの舞台となった映画館はセットではない。当時、千葉県銚子市にあった実在の映画館「銚子セントラル」がロケ地として使用されていた。 市川森一は本作で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。 |
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