大河ドラマ「花の乱」(94年、NHK)
Work Title | 大河ドラマ「花の乱」(94年、NHK) |
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Phonetic Pronunciation | - |
Period | - |
Author | 市川森一 |
Summary | ●作品紹介 大河ドラマ第33作。絢爛たる東山文化が花開いた室町時代後期を舞台に、室町幕府第八代将軍・足利義政の正室である日野富子の生涯と応仁の乱の顛末を描く。応仁の乱とは、管領家の家督争い、管領・細川勝元と守護大名・山名宗全の勢力争い、足利将軍家の後継者争いが複雑に絡み合った11年に渡る内乱である。主戦場となった京の都は長い戦乱で疲弊した。最近でこそ「応仁の乱」本が出版されてブームになったが、放送当時、室町時代は馴染みの薄い時代だった。大河ドラマでは1991年の「太平記」後半で室町時代初期を取り上げたくらいで、室町時代を真正面から描いた作品は初の試みだったという。 特に原作はなく、市川森一の書き下ろしオリジナル脚本である。大河ドラマでは史実をもとにフィクションの要素を膨らませるが、本作はよりドラマチックにするためか、史実との相違点が多い。そもそも主人公の日野富子がフィクションという大胆な設定である。富子の母が酒呑童子に犯されて産まれた異父姉の椿が、日野富子として足利義政に嫁ぐ。本物の富子が幼児期に盲目となったため、外で育った椿が戻されて取り換えられたのだ。一方、盲目となった本物の富子は一休宗純と風狂の旅に出ることに...。 第1話は1464年、室町幕府第八代将軍・足利義政(十二代目市川團十郎)が鹿苑寺金閣で催した夜能のシーンから始まる。義政の正室・日野富子(三田佳子)、守護大名・山名宗全(萬屋錦之助)、管領・細川勝元(野村萬斎)、富子の兄で権大納言・日野勝光(草刈正雄)などが列席していた。足利氏の天下はゆるぎないものに見えたが、この夜の義政の一言で地獄絵巻の幕が上がる。「なあ、富子。家督は弟の義尋(佐野史郎)に継がせて、わしは隠居する。われら夫婦には男子がいない。お前も文句はあるまいな」 このとき、義政は29歳、富子は25歳。義政は政治にあまり興味がなく、決断を早まったのだ。この2年後に富子は嫡男・義尚を産み、後継者争いの火種となる。 稀代の悪妻、悪女と言われる富子だが、将軍家に生まれた自分の息子を後継者にと望むのは悪なのか。富子は夫に代わって幕府の実権を握り、義尚を跡継ぎとして育て、貸付けや投機で巨万の富を築いた。もし富子が男性なら、これほど非難されただろうか。 主役の日野富子を演じた三田佳子は、富子の人物像をこんな風に捉えている。 「夫が将軍として采配を振るわないから、妻として幕政を支え、母として息子を立派な将軍に育てようとしたのでしょう。富子像を掘り下げれば掘り下げるほど、悪女とは違った面が見えてきます。時代の一歩先を行く近代的な女性だったのではないかと思いました」 映画俳優、歌舞伎役者、能楽師など豪華な俳優陣の競演も見ものだ。義政の少年時代を七代目市川新之助(現・十一代目市川海老蔵)が、富子の少女時代を松たか子が演じた。二人とも16歳当時で初々しく、松たか子は本作がテレビデビューだという。 |
この作品の脚本 |