大河ドラマ「黄金の日日」(78年、NHK)
Work Title | 大河ドラマ「黄金の日日」(78年、NHK) |
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Phonetic Pronunciation | - |
Period | - |
Author | 市川森一 |
Summary | ●作品紹介 NHK大河ドラマ第16作。安土桃山時代にフィリピンのルソン島に渡り、貿易で巨万の富を築いた豪商・呂宋助左衛門(納屋助左右衛門、助左)の活躍を中心に、憧れの女性との恋愛模様、日本やルソンの仲間との友情、自由都市・堺の栄枯盛衰を描く。 大河ドラマ初の試みとして、NHKスタッフと小説家・城山三郎と脚本家・市川森一が合議で大枠のストーリーを作り、それをベースに城山は小説を、市川は脚本を同時進行で執筆する方法を採ったという。実際の脚本執筆では長坂秀佳が協力した。 戦国期の大河ドラマで定番の武将ではなく、商人を主人公に据え、庶民の暮らしと経済から時代を描いている。通常は人気の高い豊臣秀吉を関白就任後は悪役に、憎まれ役の石田三成を善人に描くなど、人物像も新しい視点で捉えた。こうした挑戦が功を奏したのか、平均視聴率25・9%、最高視聴率34・4%という高い数字を記録した。 主役に六代目市川染五郎(現・二代目松本白鸚)、歴史上の大物役に丹波哲郎、鶴田浩二、緒形拳など大物俳優を振り、史実が少ない人物や架空の人物役にテレビではまだ露出の少なかった状況劇場の唐十郎、李礼仙(李麗仙)、根津甚八らを起用した。石川五右衛門役の根津は本作出演を機にブレイクし、配役でも大河ドラマに新風を吹き込んだ。 また、六代目市川染五郎の長男・藤間照薫(ふじまてるまさ、現・十代目松本幸四郎)が船に乗り合わせた同名の少年助左役、父の八代目松本幸四郎(故・初代松本白鸚)が助左の父親役を演じ、高麗屋三代の競演となった。 さらに大河ドラマ初の海外ロケを行った。フィリピン・ルソン島北部のサン・エステバンで2週間のロケを行い、フィリピン人俳優も出演したことは画期的だった。 戦国期の堺の町は生田のオープンセットに再現されたが、商人の町らしく見せるために数々の工夫が施された。航海シーンに登場する船には、南蛮船、和船、三十石船などのミニチュアを計5隻作り、砧撮影所の特殊撮影用プールに浮かべて撮影した。 第1話はこんなシーンから始まる。足利政権が権威を失い、戦国武将たちが戦いに明け暮れる1566年10月、泉州・堺は織田信長(高橋孝治)の軍勢に包囲された。信長は足利義昭(松橋登)を奉じて上洛し、堺に2万貫の軍用金の献上を命じたが、堺の自治組織・会合衆が信長を侮って拒んだからだ。海外交易で巨大な富を得た自由都市・堺に危機が訪れる。しかし、信長の力を見抜いた豪商・今井宗久(丹波哲郎)と千宗易(鶴田浩二)は、数寄者で知られる信長に天下の名器・松島の葉茶壷を献上し、ひそかに堺を戦火から救おうとした。信長が着陣する芥川城に決死の潜入を敢行したのは、今井の飛脚番・五右衛門(根津甚八)、鍛冶師・善住坊(川谷拓三)、納屋番・助左衛門(六代目市川染五郎)であった。助左右衛門はその才覚を今井宗久に認められ、戦乱期に必要とされる物資の輸入などで巨万の富を得て、堺を代表する「豪商」となるが...。 |
この作品の脚本 |